小説に学ぶ言葉、そして英語学習につなぐ

本日もWORDS TO THE WORLDへお越しいただきありがとうございます。

今回は英語にちなんだ、さらっと読めるコラムです。備忘録として書いておこうと思いました。

皆さんは普段どのような本を読みますか?

私はそれまで実用書ばかり読んできたのですが、最近になって小説を読み始めるようになりました。

小説は、私のイメ―ジでは娯楽の要素が強く、「いつか読もう、いつか読もう」と後回しにしていたのです。

しかし、思い切ってページを開いてみるとそこには多くの学びが詰まっていました。特に、英語の勉強にも役立つと感じているところです。

まず私が手に取ったのは「劇場」という小説です。「火花」で一躍有名になった芥川賞作家、又吉直樹の作品です。

劇場を読み始めて感じたのは「描写が凄い」ということです。単なる文字のはずが、言葉の紡ぎ方一つで主人公が見ている景色がありありと浮かんできます。

人間の感情もそうです。喪失感や大切な人に対する思い、恋する気持ち、素直になれない気持ちなど、ありとあらゆる言葉を使って表現しようとします。

この言葉たちは日本語だけでなく英語の語彙力を増やすためにもなると心から感じました。なぜなら、日本語ですら知らない言葉を英語で思いつくはずがないからです。

「おいしい」という言葉一つ見ても、他にも「味が深い」「学生の頃を思い出す味」「繊細な味」「温かみを感じる味」など知っている言葉の数だけ表現できます。

言葉を知らないというのは、その言葉が持つ意味や与える感覚がわからないことと同じです。英語を鍛える前に、母国語である日本語を強化する意味でも、小説はとても有効だと思いました。

劇場の次に選んだのは村上春樹の「ノルウェイの森」です。上下巻があり、先日ちょうど読み終えたところです。

さすが、日本を代表する作家だけあって、物語を楽しめたのはもちろん、とても勉強になりました。特に印象的なのは、ストーリーよりも文字を読み進めるだけで面白いということです。なんというか、次へ次へと自然と読めてしまうのです。

なぜかな、と理由を考えて一つ思いついたのは、言葉のリズムがなんとも心地良いのです。

例えば、

「でもとにかくそういうのが好きなんだね?」と彼は言った。

「別に好きじゃないよ」と僕は言った。

その答は彼を混乱させた。混乱するとどもりがひどくなった。僕はとても悪いことをしてしまったような気がした。

「ノルウェイの森(上)」より引用

ポンポンとボールが跳ねながら転がる感覚です。別の言い方をすれば、音楽のメロディーを聞いているように感じます。

そして、もちろん言葉による描写は逸品でした。どれもこれも、いつか使ってみたいと感じさせるオシャレな表現ばかりです。

彼女は作動している途中で電源を抜かれてしまった機械みたいに見えた。

「ノルウェイの森(上)」より引用

背景を伝えられないのが残念ですが、この一文なんてその女性のぼうっとしている表情を自分も見ているかのようでした。

このように、最初から最後まで言葉一つ一つを楽しんで感心し、改めて表現を学ぶには小説は最高だと感じました。

そして、村上春樹のような有名作家を選ぶと思わぬ特典がついてきます。英語学習者にはぴったりなのです。

それは、英語に翻訳された海外版があるということです。もちろん、ノルウェイの森も「Norwegian Wood」として出版されていました。

しかも、Kindle版はわずか967円と今買えるような値段で販売されています。

心ゆくまで文章を楽しみ、物語に没頭し、深く理解した作品です。それを次に英語で読むというのはこの上ない英語教材になるのではないでしょうか。

きっといくつかのセリフや描写を自分でも使ってみたいと感じるはずです。そして実際の会話の中で使えば、スピーキングの役にも立つということです。

ちなみにノルウェイの森は、ジェイ・ルービン(Jay Rubin)というアメリカの翻訳家によって翻訳されたそうです。日本語はどうなのかなと思いましたが、日本文学翻訳家であり、研究者ということで恐れ入ります。

日本語独特の表現と、その意味をネイティブが汲み取って作る英語は見どころの一つです。

以上で今回のお話は終わりです。少しのつもりが長くなってしまいました。

今回は、一見娯楽だけのように感じる小説も、語彙や表現をたくさん学ぶことができ、さらには英語学習にもなるというお話でした。

参考になれば嬉しく思います。

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